岩国市庁舎問題について「サンデーモーニング」をご覧になった方へ(内容の訂正)
結局先月は一回も更新しないままだったな、などと思いつつ、昨年暮れの「サンデーモーニング」スペシャル(TBS)で取り上げられていた話題についてつっこみを。
山口県岩国市の市庁舎の建設費用を巡って議会と市長が対立しているというのは地元ではかなり前から話題に上っていたのだけれども、全国マスコミはほとんどと言っていいほど取り上げず(これ自体、いかがなものかと思わなくもないのだけれども)年末になって岩国市長が民意を問うべく辞任したというニュースが飛び込んできて、これに飛びついたマスコミがいくつかあって、サンデーモーニングもその一つだったって訳なんだが。
で、この「サンデーモーニング」で取り上げられていた内容に根本的な事実誤認があったので、この際だから訂正しておこうかな、と。
まず、サンデーモーニングがどういう報道の仕方をしていたかというと(ビデオにとっていないので若干うろ覚えだけど)こんな感じ。
- 岩国市の市庁舎の建設費用の財源を巡って、厚木基地からの空母艦載機部隊の受け入れに伴う米軍再編交付金を受け入れるべきだという市議会と、空母艦載機部隊受け入れを拒否し財源は借金でまかないたい市長が対立している。
- 米軍再編に同意すれば35億円の交付金が受けられる見込みである。
- 市長の予算案提示に対して市議会は否決を続けているため、市長が辞職し米軍再編を争点に市長選が行われる。
といった感じだったと思う。フリップまで作ってあったからそれなりに重要視して伝えていたとはおもうんだが。
で、これには根本的な誤りがいくつかあって、
- 市庁舎の建設費用は元々SACOでの合意に基づく空中給油機部隊の移駐を前市長が受け入れた事に伴う補助金により賄われる事が決まっていた内容で、これが防衛省の意向で一方的に米軍再編交付金制度に切り替えられて取りやめになったために問題が表面化したもの。
- 米軍再編に同意しても現在の交付金の制度の内容では、交付金額は35億円とならない。そもそも35億円という数字は庁舎の建設費用に予定されていた補助金の金額であ留ので、35億円を交付金額とするのは明らかに間違い。
- 今回の「借金」は合併特例債であり、合併特例債によって充当できるのは対象事業費のおおむね95%で、更にその元利償還金の70%が普通交付税によって措置されるものであり、通常の起債とは異なる(逆に言えば今回特にせっぱ詰まった状況となったのは、合併特例債の起債期限が年末に迫っていたため)。
すなわち、問題の根本は「予定されていた交付金を防衛省の都合で一方的に取りやめた」事にあるにもかかわらず、そのことに触れていないため、単なる「疲弊する地方に交付金を与えない国」で片づけられている印象がぬぐい去れないんだよねぇ。
確かに疲弊する地方であることは間違いないんだが、単に地方の問題では片づけきれないものがあるという認識をもてるかどうか、この事実誤認はいただけないな、と思うんだが、みなさんいかがでしょ?
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いったん、約束した市庁舎の建設助成金35億円をストップしてまで、空母艦載機の岩国基地受け入れを迫る防衛省(国)、それに対し金で安全を売り渡すことはできないと抵抗する岩国市民…。この岩国基地問題は、首都圏から遠く離れたニュースだけにほとんど報道されない。しかし、政府・自民党は、現役の衆院議員を擁してまで、市民の艦載機受け入れ反対の声を体現してきた井原市長を蹴落とそうとしている。しかも、なんと、「平和の党」、公明党もこの井原市長蹴落としに賛成するらしい。
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