税制論議でだまされるな
補給支援特別措置法案とかねじれ国会とかやたら国会のごたごたばかりクローズアップされがちな昨今、実は密かに(密かにではいけないんだけど)税制見直しの議論が進んでいるのをご存じだろうか。
で、ここで今話題になっているのが「税源交換」というやつ。
法人2税(法人住民税・法人事業税)を国税にして、消費税の1%分を地方税分に振り替えようというもの。
地域偏在のない消費税を地方税にして地域格差解消に役立てましょう…という、一見すばらしい案にも見えるが、結果的に国の思惑どおりの展開が繰り広げられているのにものすごく違和感を感じるのだが。
そもそも今回の税制論議、「三位一体の改革」の名の下に地方に権限と税源を委譲し、代わりに地方交付税交付金を減らしましょうという国の政策が結果的にとんでもない代物だったというところから始まっているはずなのである。
ところが、権限の委譲とは言っても法律の縛り(当然その法律を決めているのは国会と国の省庁)のあるものばかり、税源の委譲に関してはは交付金カット相当の委譲がなされず(所得税から個人住民税への委譲が3兆円に対し、地方交付税交付金は4.6兆円カット)、しかも地方交付税をもらっていないところにも税源の移譲が行われた結果、元々は地域偏在を減らすための措置であった地方交付税の機能を著しく損なわせ、地域格差を加速させる結果になったわけですな。
で、これは本来国の施策によるものであるから、国により何らかの対処が行われるべき性格のものであるにもかかわらず、地方交付税論議からものの見事にすり替えが果たされ、「都市と地方の税源争い」に仕立て上げられちゃったというのが実に気に入らない。
特に、この話は「絶対に議論のすり替えになるぞ」とさんざん言われ続けていたにもかかわらず、その予想どおりの展開になってしまったという点が非常に歯がゆい。
地方の意見をまとめきれない結果、国の言いように議論を振り回されて、三位一体ならぬ「三方一両損、得をするのは(懐を痛めない)国ばかり」という展開が待っているのがなんとも…
今からでも遅くないのでもう一度言うが、税制論議は都会と地方の争いではなく、本来は国と地方の争いなのだというのをしっかりと認識してもらいたいところ。
都会から地方税を吸い上げるのではなくて、都会で国税をたんまり取って地方に配分してやるぐらいのことを考えてくださいな。
まあ、無理だろうけど…
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