最近のトラックバック

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

このブログについて

« マスコミは政策よりも政変がお好き? | トップページ | 続・郵政民営化に対する個人的考察 »

2005/08/20

郵政民営化に対する個人的考察

今回の衆議院解散で、やれホリエモンが広島の亀井静香の選挙区から立候補するだとか、郵政民営化反対の対抗馬に料理研究家とか元ミス東大の財務省官僚とかが立候補するだとか、なんつーかイエロージャーナリズムモード全開の選挙戦序盤ですが…
(ここら辺については、次回あたりの記事で整理して書きます)

立て続けに以前の郵政民営化法案関連の記事にトラックバックをいただいたようなので、ここら辺で自分の郵政民営化についての考えを書いておこうかなと思うところです。

結論から言うと「日本政府が郵政事業の『ユニバーサルサービス』を実質的に放棄するつもりなら、民営化もありじゃない?」ってところになるんですけど。

郵政公社が民営化されると、少なくとも郵便局は民間組織になります。(当たり前ですね)
民間組織である以上は効率化による利益の追求が求められるところだろうと思われですが、そうなった場合にはまず間違いなく、不合理な部分の整理、さらには今以上の効率化の追求が進むことだろうと思います。
その場合に、地方部の郵便局は統廃合の憂き目にあい、サービス水準が低下するであろうことはまず避けて通れないだろうと思うのですよね。

こういう書き方をすると、きっとこういう反論があると思います。

今回の郵政民営化では、現在の郵便局の水準を維持することが法律で謳われているじゃないか。
そもそも、郵便法および万国郵便条約で、「過疎地も含めた一律サービスの提供」が義務付けられてるはずだ。万が一国内法がどうにかなったとしても、国際条約を批准している以上この点は動かないんじゃないのか?

ま、たしかにごもっとも。
万国郵便条約などの定めにより、郵便サービスそのものはユニバーサルサービスでなければならないのは確かです。
ただし、これで述べているのは、郵便事業に関する本当の最低限の部分、つまり『郵便物をどこからでもどこへでも配送する』点だけですよね。
つまり、全国に郵便局を設けることも、極端な話をすれば固定式のポストを全国津々浦々にまんべんなく据えることさえも、本来の郵便条約の趣旨から言えば、実は別に義務づけられているとはいえないわけです。(もちろん、現在は郵便法などでこの辺の縛りがあるわけですが)

なぜこんなことを考えてしまうかというと、ある2つのことが引っかかるからなんですよね。
一つは、同じように公社が民営化されたNTT(旧・日本電信電話公社)の例。
かつて電電公社は、地域サービスのために少なくとも一つずつ、営業拠点を抱えていました。今の郵便局ほどではないものの、電話に関することを相談しようと思えば、そこそこ近くに窓口があったわけです。
ところが民営化後、NTTは経営改善の名の下に、原則として電話によるサポートに移行し、ことごとく地方の営業拠点を無くしてしまったんですね。最終的に都道府県単位の支店でも営業窓口は廃止してしまい、すべて電話での応対に移行してしまったわけです。
しかしながら、こういう状況になっても、結果的に電話サービスやそれに対するサポートを地域で廃止しているわけではないので、最低限の電話事業(音声通信サービス)だけを見れば「ユニバーサルサービスは維持されている」という形にはなっているわけですよね。
併せて言えば、NTTは民営化後、特にデータ通信部門で様々なサービス(フレッツシリーズなど)を開始しましたけども、このサービスも原則的には都市機能の集積されている地域に限定されているわけです。
それから、今やNTTの稼ぎ頭となっている通信サービスですが、今やブロードバンドの時代だ何だといっても、地方部では未だにブロードバンドサービスが提供されていない地域も多数あるわけです。(よく「サービスエリア人口比99%」などと謳っていますが、決して居住エリア面積比99%ではないですし、そうなることはおそらくないと思っています)
そういう地域では結果的に(ある程度利潤を度外視した)自治体の事業として何らかの事業(地域ケーブル網の整備など)を起こさない限りは、そういう付加サービスの恩恵を受けられないという状況に陥っているわけですよね。実際、うちの近所も似たような状況ですし。
このような状況から類推するに、郵政事業においても、民営化によるサービス向上の恩恵を直接的に受けられるのは、企業としてそこそこ利益の出る地域に限られ、その部分でのユニバーサルサービスは期待できないだろうなと言うことなんです。

もう一つは、一般信書便に参入する業者が皆無であること。
平成15年から、「信書便法」(民間事業者による信書の送達に関する法律)の施行により、民間業者が信書便を扱うことが可能になりました。
ところが、速達性などを追求できる「特定信書便」事業には、都市部のバイク便業者などを中心にいくつかの参入例が見られますけど、ユニバーサルサービスを前提とした「一般信書便」には、私の記憶に間違いがなければ、未だに参入は0のはずです。
かつて信書便参入の最有力候補といわれたヤマト運輸でさえ、信書便法に大いに不満をみせて、一般信書便事業へ参入しない姿勢を崩していません。
この件に関してはヤマト運輸の「言い分」がニュースリリースで掲載されているのですが、

5.法案に規定されている参入条件については、当社は無理すればクリアできると考えます。
6.しかし、この法案では、多くの企業が参入し自由に競争することで切磋琢磨し、結果としてお客様の利便性が向上する状況がもたらされることは到底期待できません。
7.したがって、この内容では当社は「信書便法案」の許可事業者として参入することはできないと判断しました。

とあるんですね。(ヤマト運輸のニュースリリースから一部抜粋)
具体的に法律(当時は法案)のどこに不満があるのかがこの文面だけでは読み取れないのですが、ヤマト運輸の主張と法律の条文を照らし合わせていくと、次の条文が一番ネックになっているのではないかと推測できるんですね。
(許可の基準)
第九条 総務大臣は、第六条の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。
 一 その事業の計画が信書便物の秘密を保護するため適切なものであること。
 二 その事業の計画が全国の区域において一般信書便役務に係る信書便物(以下この号において「一般信書便物」という。)を引き受け、かつ、配達する計画を含むものであって、事業計画に次に掲げる事項が定められていること。
  イ 総務省令で定める基準に適合する信書便差出箱の設置その他の一般信書便物を随時、かつ、簡易に差し出すことを可能とするものとして総務省令で定める基準に適合する信書便物の引受けの方法
  ロ 一週間につき六日以上一般信書便物の配達を行うことができるものとして総務省令で定める基準に適合する信書便物の配達の方法
 三 前二号に掲げるもののほか、その事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
 四 その事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。

この第二項イで定めた「信書便差出箱」というのは、つまり固定式の「ポスト」のことで、要は一般信書便に参入しようと思ったら全国津々浦々に自社のポストを設けなさいよ、ってことなのですよね。
確かにこの点は、郵政省時代にすでに全国にポストの設けてあった郵政公社に大いに有利に働く条項で、そもそも自前の拠点をほとんど設けず直接引き取りを前提としていたヤマト運輸にとっては自由競争を阻害する要因だと主張することになるんですよね。
逆に言えば、ヤマト運輸(をはじめとする宅配運送業者)は荷物ごとの個別集配を原則としていますから、この部分(固定ポストの設置)の縛りがはずれたら、今まで通りの手法で信書便に参入できるようになるのに、何でそれを認めないのかということを暗に言わんとしているようにも読み取れるんですね。

だと考えた場合に、郵政公社が民営化されて、仮に郵政事業において競争を促進させよう(この場合の競争相手は、実は外資系の企業である可能性が高いと踏んでいるのですが)という意向が政府内部に働いた場合には、おそらくこの条項の見直しはさけられないだろうと思われます。
この部分が無くなれば、逆に郵政公社(が民営化された法人)の側からすれば、さほど絶対数の多くない地方部の信書の集荷のためにわざわざポストをもうけて定期的に集荷すること、さらには人口比に関係なく全国あらゆる場所に拠点としての郵便局を常設するのは組織全体からすればあまり効率的ではないといえますから、結果的に地方拠点を廃止し、個別集配あるいは移動販売に移行するのではないかと踏んでいるわけです。
この場合でも、形の上ではユニバーサルサービスは確保されていますが、地方に拠点が無くなったとしたら、地方部においてサービスの質の低下を招く可能性は否定はできないですよね。

まあ、あらゆる民間企業が効率化の名の下に地方部からの事業撤退を繰り返し(実際、郵便局しかない地域ってコンビニすらないって地域だったりもしますから)、最低限のサービスだけを提供している現在、経済活動におけるユニバーサルサービス自体に意味があるのかという議論が起こりかねない状況になっていますが、時代の流れとして避けては通れないというのもある面では事実でしょう

ただ、本当はここら辺を国会の場でじっくり議論してほしかったんですけどねぇ…
政争の具に使われている現在ではねぇ…

【補足】
今回の考察では、純粋に郵政事業にのみ焦点を当てており、郵貯や簡保については考察の対象から外しています。(これらは郵便事業とは性格の若干異なる別物だと考えているからです)
これについても、選挙の期間中に考察を加えてみたいと思っていますが…

« マスコミは政策よりも政変がお好き? | トップページ | 続・郵政民営化に対する個人的考察 »

コメント

はじめまして。JIROさんの断片的日記のリンクからこちらのブログへたどりつきました。
私はいままであまり政治的なことに興味がなかったのですが、郵政民営化について考えるきっかけがあり、いろんな人の意見を読ませていただくようになりました。
こちらの記事についてTBさせていただきました。また時々、こちらのブログにお邪魔させていただこうと思っていますので、よろしくお願いします。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15366/5550878

この記事へのトラックバック一覧です: 郵政民営化に対する個人的考察:

» 郵政民営化の本質は、3事業の分割である。国鉄民営化の本質が6地域会社への分割であったように。 [田村伊知朗政治学研究室]
郵政民営化の本質は、その分社化にある。郵便事業、郵便保険、郵便貯金の3事業を分割 [続きを読む]

« マスコミは政策よりも政変がお好き? | トップページ | 続・郵政民営化に対する個人的考察 »