橋梁談合を考えてみる その1
昨日の夜、一連の鋼橋工事に関する談合事件に関連して日本道路公団の内田副総裁が逮捕されたというニュースが伝わってきました。
道路公団の技術系トップが逮捕されるというとある種唐突な印象を受ける気もするが、実を言うといろんな意味で「筋書き通り」という印象が無くもないというのが正直な感想だったりもするんですよね。
というのも、この場合のキーワードになりそうなのが「鋼製橋梁という工事であること」「道路公団であること」「技術系のトップであること」ということだろうと思う訳なんですわ。
この辺をキーワードごとに何回かに分けて書こうと思います。
まず、橋梁という特殊性のある工事であることについて。
特殊性のある工事というのが適切な表現かどうかはわからないんですけど、橋梁というのは他のトンネルだとか一般的な道路だとか、あるいはダムなどと違って、専門業者に発注されるのが一般的なんですよね。
特に、鋼橋の発注というのは、一般土木業者ではなく、基本的には「鋼構造物工事」という業種(=建設関係業者が公共工事をするための許可を得る為の区分)というジャンルに区分されるんです。
橋の場合、橋の長さだとか橋脚間の距離だとか橋脚下部の高さだとかその他いろんな要因でコンクリート製がいいか鋼製がいいかというのがある程度体型分けされるので、設計の段階でどちらになるかというのはだいたい決まっているんですけど、そもそも鋼構造工事をやる業者というのは全体としてそんなにパイの大きな世界じゃないですから、業者数そのものが限定されてくるというのがあるんですよね。
だから、いいか悪いかは全くの別問題として、下手に競争をあおったり業界再編を促したりすると、これ以上業者数が減って、かえって寡占状態を促進しかねないという懸念があるもの確かでしょうし、その意味で仮に談合的なものがなかったとしても、業界全体の動きとして、何となく微妙なバランスの上で何となく受注量の調整がはかられてしまうというのは可能性としてある話だろうなとは思うわけです。
もちろん、これを堂々とやってしまうと今回みたいな事態になるでしょうし、ましてや発注者が積極的に関与するのは法規上非常にまずい話というのはわかりますけどね。
で、実はコンクリート製の橋であっても、結果的に専門性が問われるので(実質的に、ゼネコン本体が橋梁の上部工事を受注すると言うことはかなり限定的ではないかというのが個人的な印象です)同じようなことは考えられるんですけど、今回の場合特に鋼橋の方だけがやり玉に挙がったというのはどことなく裏があるような気がするんですよね。
というのも、鋼橋を受注する「鋼構造物工事」の業種を持っている業者というのは、往々にして造船業者が兼ねていることがあって(鉄鋼を使った大規模構造物ということで共通点があるんでしょうね)今回処分を受けた業者もご多分に漏れず造船業者が複数社入っているわけです。
でもって、今回の流れが、仮にたとえば(あくまでも推測ですけど)日本の鋼構造工事の市場に参入を目指している海外(特にアメリカあたり)の造船業者から何らかの圧力がかかっていて、今回の一件についても日本の鋼構造市場の改革の流れを作って、市場に参入させやすくすると言う基づいていると仮定すると、特に鋼橋だけがやり玉に挙げられたという部分も、何となぁく話が見えてくるような気がしてしまうんですけど…どう思います?
他のキーワードについては追々書いていきます。
« NHKと朝日新聞、その後のやりとりを見て思うこと | トップページ | 橋梁談合を考えてみる その2 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント