JR福知山線・運転再開の裏で
JR福知山線の脱線事故から55日、今朝から運転を再開しました。
まあ、最初の列車に垣内社長が同乗し、現場は時速30kmで走行したとかいっていますけど、まあ報道する側・される側のパフォーマンスの側面が強いと思われるので(だいたい走行中の乗り物の運転台めがけてライトを当ててカメラを向けられたらまともな速度じゃ運転できませんって)まあそれはそれとして。
自分が個人的に気になったのが前日の被害者説明会のこと。
運転再開の前に被害者に対して説明を行うというのは一定の誠意があるようにも見えるんだけど、その裏でいろいろと気になることが多々あったように思うんですよね。
まず、その開催の時期。
JRが合同の説明会を開催したのは運転再開の前日。
当然それ以前にマスコミ向けにニュースリリースを出し、国土交通省にダイヤの届け出をし、一般向けにダイヤの配布もし、それから後に遺族から運転再開を拒否しにくくなる予定日前日に…ということになれば、遺族の方も「運転再開ありき」という気持ちが湧くのもわからなくもないか、と。
もっとも、今回の運休のために交通インフラに多大な影響があったのもまた事実で、阪急だけでは裁ききれないほどの需要があることを考えれば、遺族の中にも一定の理解をしている人がいることを考えれば、まあある程度はしょうがないのかもしれないですけどね。
それ以上に気になったのは、そのことに関するマスコミの取材の仕方。
ペーパーメディアは割と冷静な伝え方をしていたのだけど、テレビの方は遺族の方の、それも「JRの姿勢に抗議する」意見の人ばかりインタビューを伝えている状態。会自体が非公開で、遺族感情を考慮すればそういう意見が主流になっているのかもしれないけど、遺族被害者が全員JRを糾弾しているかのような伝え方は一種誤解を招きかねないのかな、と。
で、その中でも極めつきが、朝日放送(テレビ朝日系)がその「非公開」であったはずの説明会の内容を遺族からビデオを入手して公開していたということ。当然のごとく、遺族がJRを糾弾するシーンばかり選んで流しているように思われる始末で、「見ていて胸くそが悪くなる」というのはこのことかと思っちゃいましたね、正直。
もっと懸念しているのが、今日の運行再開で、報道機関のトーンが一気に盛り下がっちゃうんだろうなと思われること。これまでも数々の重大事故があった際でも、とりあえず表面上元に戻ると報道のトーンが一気に下がることが往々にしてあったのが通例で、もしマスコミが本気でJRの姿勢を追求したいのであれば、定期的に取材結果を流してほしいものですけどね。たぶんそんなつもりはないんだろうなぁ…
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