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2005/03/03

株主の価値(西武グループ問題とフジサンケイグループ問題の比較)

まあ、ある程度予想されて、すでにカウントダウン状態であった西武グループの堤義明・前コクド会長の逮捕
上場廃止の危険性を察知して、その前に手持ち株を売却してしまおうというインサイダー取引はかなりいただけないですが(というか実際犯罪行為なんですが)、もう一方の、あるいは主たる容疑である有価証券報告書の虚偽記載については、決して許される話ではないにしても、先代の故・堤康次郎氏の時代からの資産の流れ、あるいは西武グループ内での株式の持ち合い構造を見てみると、今話題になっているもう一つの問題「ニッポン放送株取得問題」とはある種よく似た部分と対照的な部分がはっきりと分かれているような気がします。

西武グループに於いては、コクドが実質的な持ち株会社(もちろん、コクドにもスキー場経営などの観光業の本業もありますが)として存在しているんですが、このコクドは実は非上場企業で、コクドの大株主が堤家となっており、その存在は(非上場企業であるが故に)揺るがないわけですよね。
で、コクドの子会社として西武鉄道やプリンスホテル、西武ライオンズなどのグループ企業があって、特に西武鉄道(と伊豆箱根鉄道)以外はこれまた非上場企業であり、さらにプリンスホテルや西武ライオンズはコクドの完全子会社となっています。そしてグループの各社の経営には、各社の経営陣以上に親会社コクドの大株主としての絶対君主たる堤家(というか堤義明氏)の意向がきわめて強く反映されていたわけですよね。
すなわち、(経営そのものの透明性や客観性に大いなる疑問は残るとはいえ)株主と経営者との関係が明確となっているわけですよね。
結果的に、上場企業たる西武鉄道の実質的株主がコクドと堤家に集中しており、株式の流動性が極めて乏しいために信頼性や透明性に欠ける部分が大きく、いわゆる総会屋事件や今回の元会長逮捕につながったのも事実ですが…

一方フジサンケイグループ。
市場の求める透明性や信頼性を確保するために、ほとんどのグループ内企業は上場企業となっていますが、実はその多くはグループ内の株の持ち合いなどを行うことにより実質的な流動性を否定している上に、自分たちの株式に対する保有価値(その価値も今や結構怪しくなりつつありますが)を甘く見すぎていて、株主は保有利益以上のものを求めないだろうし、保有利益を確保するためにも株をそう簡単に市場に流さないだろうと高をくくっていたのではないかと思われるんですよね。
だから株主との関係よりも経営陣、あるいはグループとしての価値ばかりが尊重される経営手法に陥りがちで、今回のような騒ぎが起こったときに対応策が後手後手に回ってしまうわけですし、グループ内での所有比率を上げようとする「ポイズンビル」なんて奇策としか呼べないような手法しか思い浮かばないんでしょう、きっと。

大株主(としての堤家)を尊重しすぎた西武グループと、株主を甘く見ていたフジサンケイグループ。
同じように市場性を否定しかねない行為であっても、その発想は何となく対照的なような気がするのですが、皆さんはどう思われますか?

【補足】
あちこちで投稿が起きている、逮捕直前から始まったマスコミによる堤氏バッシングについては、前回の記事を含め何度か書いている話なので改めてここで書くことはしません。
敢えて言えば、「毎度のことか」ぐらいにしか思わなくなってしまった自分が悲しいのですが…

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