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2005/03/27

ニッポン放送騒動の「総括みたいなもの」(M&A論編)

いろいろと書こうと思っているそばから様々な話題が百出して、結果的に皆様ご存じの通り新たな(あるいはこの話にけりをつけてしまった)キーパーソンがいきなり登場して3月25日(=株主総会の議決権確定日)を迎えてしまったライブドアとフジサンケイグループの一連の騒動。
各ブログでも皆さんかなり読み応えのある「総括」が繰り広げられている中で、私もひとまずのまとめという形で書いておこうと思います。

なお、そんな中で大前提として「M&A論」と「メディア論」はある程度分けて書かないと話がごちゃごちゃになってしまう(実際、マスコミの多くはこれらをごちゃ混ぜにしてしまって、無理矢理話をおもしろおかしくしようとしている節が見え見え)ので、記事を分けて書こうと思います。

まず、M&A論から。
今回の一連の騒動、特にフジサンケイグループの動きは、日本の大企業の多くで「何のために株式を上場するのか」という基本の部分が忘れられているのではないか…ということが白日の下にさらしてしまったような気がします。
本来、株式の公開というのは、自分たちの会社に対して複数の投資家に投資をしてもらい、得た利益の一部を配当成り株主優待という形で出資者に還元するというのがそのシステムのはずです。そして、株式を証券取引所に上場するというのは、その(自分たちへの)投資家を広くあまねく募るという意味合いがあったはずです。
そこには、「投資する人の利益に反することはしない」というのが前提としてあるだろうと思われるんですよね。

ところが、フジサンケイグループは結果的に「企業価値維持のためには、投資する人に不利益となることをやってもしょうがない」という行動に出てしまったわけです。
それだけ「会社で一番えらいのは株主ではなくCEOだ」という意識が見え隠れしてしょうがない気がします。

さすがに新株予約権の大量発行はあからさまに不法行為と認定されてしまったので結果的にそれを引っ込めることになりましたが、その一方で貸株という形でソフトバンク・インベストメント(SBI)という、既存の株主ではない第三者を一方的にフジテレビの筆頭株主にしてしまったという、一種のバクチに出たわけです。
もし、特定の投資家に投資されるのを嫌い好意的な投資家にだけ投資を願うのであれば、はじめから自社株を上場しなければいいだけの話であって、実際に上場していないからと云って企業価値がそれほど損なわれた企業ってあまり思いつかないのですけどね(もちろん上場廃止に追い込まれた西武鉄道みたいな例もありますが)

一方で、今回のライブドアの手法―大株主となったことを理由に業務提携を迫る―という手法は日本ではまだまだ受け入れられにくい(あるいは敵対的買収とみなされる)ということもわかったような気がします。株主の利益を毀損する行為はもってのほかですが、いわゆる礼節を軽んじ、例えば事前交渉を行っていなかったというのも今回の一件を複雑にした要因のような気がします。
もし仮にライブドアが株式買収前にニッポン放送に対して業務提携の申し入れを行っていたとしたら、あるいは大株主となったあとで株式買収を進めるのを一時中断していたとしたら、さらには「次はフジテレビだ」的なニュアンスを一切封印して純粋にニッポン放送とだけ業務提携の交渉を行っていたとしたら…これらのどれかが実現していただけでもずいぶんと状況は変化していたような気もするんですよね。
日本人もずいぶんドライになったといいますが、ここ一番の決断に感情の入り込む余地がまだまだあるんだなという気にさせられる点でもあります。

最後に、今回フジテレビの筆頭株主となったSBIがソフトバンクグループという事に絡めて「これでライブドアも手を出せないだろう」「フジテレビも安泰だ」と考える人も多いでしょうが、ものすごく客観的に見れば、実は「攻め手がライブドアがソフトバンクに変わっただけ」という見方が自然なんではないかという気もするんですよね。しかも、今度は相手がM&Aの専門家ですから、いざ攻められたときに今まで以上に下手な手は打てないとも思うわけです。場合によっては無抵抗に諸手を挙げなければいけない可能性だってあるわけです。
ですから、状況的には最初の(規模のさほど大きくないニッポン放送が親会社で、それよりも遙かに規模の大きいフジテレビが子会社である)状況よりもある意味厳しくなったという見方だって出来るようにも思うわけなんです。
今後、もう少し長いスパンで状況を見ていく必要はありそうな、とりあえずの結論といったところでしょうか。

次回は、今回の騒動で明らかになったメディア産業の行く末について書くつもりです。

P.S.1 それにしても、孫正義ソフトバンクグループ社長は「自分たちは敵対的買収は仕掛けたことがない」などといっていますけど、約9年前の、ルパート・マードックと手を組んだテレビ朝日M&A劇は敵対的買収ではないのでしょうかねぇ?(あのときよりも、手の内がオープンにされているだけ今回の方がましなような気がしますけど…)

P.S.2 今回の一件で「ニッポン放送がライブドア傘下になったら私は出演しない」とか云っている芸能人が続出していますけど、妙なうさんくささを感じるのは私だけなんですかねぇ?「ライブドア傘下のニッポン放送に出演するならフジテレビとの出演も再検討させていただきます」などと暗に云われているとか…

P.S.3 これまでにニッポン放送騒動について書いた記事のリンクを載せておきますので、こちらもご覧くださいませ。
ライブドアの「戦略」
「メディア企業」か「報道機関」か(続・ライブドアの「戦略」)
フジテレビの受ける「ダメージ」
株主の価値(西武グループ問題とフジサンケイグループ問題の比較)
堀江社長へのインタビューを見て
ニッポン放送新株予約権大量発行(新聞読み比べ)
フジサンケイグループの「予定どおり」と「予定外」

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